2019/6/13(木)虎ノ門 有本さん百田先生引退の件で切り取りはよくないとの見識を示されたのでご紹介しました。
全文文字起こしは以前の記事から

kencowくん009
〇以前の記事
http://kencow-s.blog.jp/archives/19296246.html

出版業界の今後についても見識を示されたのでkencow君の思う今後を考えたいと思います。

①出版業界縮小は作家は困るのか?
kencowくん008

有本さん談
・ちょっと目立つ人間がいたら叩こうとか何かこう足をひっぱろうとかそういうことばかり考えるこの体質が私はやっぱり文芸という世界をより縮小に向かわせてきたんだなという風に実感します
・じゃあ例えばこの売れてる作家が一人引退します仮にですよどうなるんですかって言ったらこの文芸マーケットはより縮小するだけだと思いますよ


上記は全くその通りで百田先生が引退するのはマーケット縮小に繋がると思う。
出版業界が落ちてるってのはよく言われますが、ちょっとそこはミスリードがあると感じます。

例えば小説の作品が生まれてから販売されるまでは

①作家:作品を創る(作家が作業負担)
②印刷会社:印刷する(出版社が費用負担)
③取次:書店へ配本する
④書店:販売する
⑤出版社:一連のコストを負担し、売上を印刷会社が受け取る
⑥作家:売上の一部を作家が受け取る

概ね上記の流れかと思います。

ユーザーが百田先生の作品を通じて紙の本(本件の場合文芸)を買わなくなる。
じゃあ、そのお金をどこに使うの?と言ったら、その分貯金するか?といったらそうではない。
元々本を買うお金・時間は生活費を削って捻出した可能性は低い。別の暇潰しにお金・時間使う可能性が高い。
WEBにとっつきにくい方は別の本を買う可能性も高いですが、WEBに苦手意識がない方はこの機会に本を買うのをやめる可能性が高いでしょう。


竹田先生が
無料でね、無料でブログ小説とか色々読めちゃうからお金を出すってハードルは以前より上がってるんですよ

と仰ってましたが、他の暇つぶしとしてまずは無料の物から試す。小説アプリだったりyoutube・漫画アプリ等たくさんあります。

無料で楽しめる物があるのに大きなお金を取る本や新聞等の紙媒体はユーザーにとってコスパが悪くなってきてるんですよね。それらWEB媒体が今後伸びていくのは間違いない。


これって

①作家
②印刷会社
③取次
④書店
⑤出版社


上記で②~⑤にコストがかかってるからお金取ってるんですよね。
WEBだとかなり節約できるんです。

WEB媒体でも創作は必要です。だから作家は紙媒体(例えば小説)がダメになっても他の分野でその能力を発揮して娯楽を提供できるので、この流れは実は怖くないのではないでしょうか。

出版業界が落ち込むと作家が困るような意見があり、それは発表の場が縮小するので一面正しい。
が、それ以上に苦しいのは自身で商品(作品)を創れない②~⑤だと思う。

本が売れない=作家のピンチ というのは半分ミスリードと感じる。
困ってるのは出版関係者である。
百田先生は困ってないんじゃないかな、と忖度しています。


②創作物=暇つぶしにお金を払う人は減っていく
kencow006

創作のマネタイズについてそこまで色々調べてないけど、例えばyoutubeを始めてみた。
これはkencow君が漫画とコラム、広告位しか作成経験がないため、別のスキルを付けたいなぁというのが大きい。
でも一番は広告は表示されるけど無料で見れるユーザーの懐に優しい媒体だから

雑誌や新聞って必ず広告が付くけど、お金払って広告のページがあるのは今のご時世では違和感がある。
その1ページ分のお金返して欲しいとユーザーは感じる。
(実際はその広告が載ってるおかげで出版コストがペイできて販売単価が下がっているのでユーザー還元されてると思うけど)

漫画・小説アプリや映画見放題サイトとかも、将来的には無料で見放題になって、その代わり広告が表示されるyoutube方式になるんじゃないかなぁと予想している。

③創作のみに絞れば伸びている
kencow004

紙媒体しかない頃は

・新聞
・雑誌
・単行本

しかなかった。
今は上記にプラスして

・ブログ
・SNS
・動画
・電子書籍

他にもあると思うけど、WEB媒体の作成者全てを作家だと考えると作家の数は増えている。
全ての作家の収入を総合したら、今の方が多い可能性もあるんじゃないかな。

電子書籍は売上は低いんだけど、印税の割合多いから作家が得る報酬は高くなる場合も多いみたい。
(kencow君はやってないので聞いた話)

④出版業界が落ちる体質は業界じゃなくて国柄の体質
kencow002

日本って新しいモノが出ると叩き潰す文化がありませんか。有本さんも

お金を出してでもこの人の小説を買いたいって言うそれだけの支持を得てる作家って事でしょう?
それはねーやっぱりそのー多少この人の口が過ぎるからと言ってね
もうーそのー不当に色々叩きまくるというような事が私は全然やっぱり健全だと思いませんね


と仰ってましたが、これ、出版業界じゃなくて日本全体の問題だと思うんですね。
(虎ノ門で上念さんも言ってたかな?)

車業界は自動運転のテストを公道で出来なかったり、薬品業界は規制緩和前はインターネット販売禁止だったりしました。あとドローン飛ばしちゃダメだったり。

チャレンジするチャンスを奪うから、2番煎じしかできない。
これは不況の原因の一つな気がします。


⑤百田先生が引退して、新しい作家が出ないのか?
kencowくん001

有本さんは
じゃあ例えばこの売れてる作家が一人引退します仮にですよ
どうなるんですかって言ったらこの文芸マーケットはより縮小するだけだと思いますよ
新しい作家出てくるというけれどもそんなに出てきてないですよ
この10年でじゃあ誰が出てきました?そんなにもの凄い売り上げる人


と仰ってました。
これって鳥山明先生が引退する時も囁かれたんですよ。
だけどワンピースの尾田 栄一郎先生が出てきましたよ。


これは(有本さんがって事じゃなくて)出版社が新人を探す・育てるのにリソースを注がないのが原因だと思います。怠慢です。
これ、僕の体感では漫画業界は強いんですよね。


売れてる作家ばかり書かせて出版する体質がありません?

僕が思ってたのは宮部みゆき先生なんか凄いペースで本を出されてましたけど、ハイペースの時は質が落ちてる気がしました。(それでも物凄いクオリティだと思います&関係ないけど一番好きな作品は蒲生邸事件)
ああやって才能を摩耗するのは目の前の出版業界の売り上げは上がるかもしれないけど、長期的に見たらマイナスじゃないかな?と感じました。

百田先生は引退した理由を下記のように言っているみたいです

〇産経新聞「百田尚樹さんが「小説家引退」宣言 ツイッターに「悔いはない」」
https://www.sankei.com/life/news/190612/lif1906120040-n1.html

・出版界、とくに文芸の業界はうんざりするような連中が多すぎる。『夏の騎士』を最後に引退する。でも最後にいい作品を書けたから満足や
・有終の美を飾ったと思っています
・たまに新書やコラムは書くつもりだが、それもせいぜい2年くらいかな


作家は編集者に向かって絶対に言えないけど「作家の才能を食い物にされてる」と感じて疲れた面があるんじゃないかなーと捉えました。
これは百田先生がそう思ってとしても言えない事だと思います。

創作は趣味の延長みたいなもんなので最初は楽しいんですが、自分の中で趣味から職業に変わると楽しくなくなる。

満足したなら席を空けてもらいましょう。

後輩にチャンスを与えられたと思って作家さん、作家を目指す方は頑張り、百田先生を超えるような人が出て業界を伸ばし、「新しい作家なんかでない」と思っている出版関係者を見返してほしいですし、出版関係者の方は諦めないで新しい新人さんを開拓・教育して欲しいです。

引退宣言をしなかったら席が空くかが明確にならない訳ですから、百田先生は潔かったと思います。

CM

チャンネル登録をお願いします